International Network of Engaged Buddhists (INEB)による原子力に関する声明

いのちの価値を尊重し、共生社会をめざして

2012年11月10日

 2011年3月11日の大震災以降、International Network of Engaged Buddhists(以下INEB)は、Japan Network of Engaged Buddhists (以下JNEB) と日本の原子力行政を問い直す宗教者の会を通して福島第一原発事故後の日本社会に注視してきた。

2012年11月6日、7日にINEB理事長を含む理事7名が、特別警戒区域である飯舘村や南相馬市小高地区を含む福島県内の町(須賀川市、二本松市、福島市、伊達市)を訪問した。JNEBや原子力行政を問い直す宗教者の会の過去1年8ヶ月の取り組みと、この度の福島訪問の経験を省みて明らかになった問題点は以下の通りである。

・特に子どもや若者に特に影響を与える、高い空間線量と食品汚染。実際に多くの子どもに甲状腺の異常が認められている。

・突然の強制避難と、度重なる移住と不安定な生計による生活の荒廃。

・避難か現地残留かの選択による家族や地域社会の分断、及びコミュニティや地域文化の喪失。

・日本政府、東京電力、地域行政等の当事者たちが無責任な態度を取り続け、正確な情報を提供しないことによる、被災地で暮らす人たちの健康と生活へのリスクと不安の増大。

福島原発事故のみならず、世界中の多くの人々に対する原子力政策による長期的、構造的、文化的暴力を深く認識し、INEBは社会正義及び個人の自由を目指ざす世界仏教徒として以下の見解を表明する。

・原子力は、今日の人々のいのちだけではなく次世代のいのちまでも脅かすという意味で、持続不可能なエネルギーである。このようなエネルギー技術が人類に繁栄と永続的な幸福をもたらすと信じることは無智と幻想の表れである。

・原子力発電を進める政策は核武装への道に繋がり、且つ核戦争の恐怖をもたらすものである。

・原子力発電は、極度に集中した権力の支配のもとで、際限のない成長神話の象徴として以下のような犠牲を伴いながら発展してきた。

1) ウランの採掘から廃棄物の処理にいたる様々な原子力産業分野における労働者および周辺住民の健康と暮らし

2) 持続可能な生活スタイルを基盤とする伝統的な農村コミュニティ(社会規範、経済的自立性、人間関係など)

3)自然環境(沿岸部における大規模な施設の建設、放射能の拡散、大量の温排水などが引き起こす自然被害)

・これからの危険性を踏まえれば、原子力は化石燃料使用の問題や地球温暖化の問題を解決する答えではないことはあきらかである。

結論として、INEBは以下の事を推進し、人々に積極的な参加をよびかける。

・現地に残った人も避難した人も含め、福島県の人々の苦しみによりそい、現実を広く伝えていくこと。福島県の人々の勇気と忍耐を尊重し、できる限り必要な支援を行う。

・原子力に関する教育とより深い理解と正しい情報の普及を促し、循環型の社会の形成を提唱し、実際に地域的に取り組んでいる人たちを支援することを、特に仏教寺院及びコミュニティー、国際ネットワークを通じて行う。

・「知足」「慈悲」「縁起」という精神を基盤とし、持続可能な生活を積極的に推進するという同じ願いを持つ人々と連帯する。

20121189日、孝道教団において開催されたINEB理事会にて承認